人工股関節置換術とは、股関節内の傷んだ骨や軟骨を削りとり、代わりに金属やセラミック等でできた人工関節に置き換えて、痛みのない歩行を可能とするために行う手術です。

大腿骨頚部骨折や変形性股関節症、大腿骨頭壊死、外傷による後遺症などで、お薬や装具による保存的な治療では痛みが緩和されず、非常に強い痛みで歩行障害を伴なう方は手術の適応となります。

適用する疾患例

• 変形性股関節症

• 大腿骨頭壊死症

• 関節リウマチ

• 外傷による骨折

股関節の仕組みと股関節での問題

股関節は大腿骨（太もも）と骨盤をつなぐ関節で、大腿骨骨頭（上端の丸くなっている部分）が、臼蓋（骨盤のくぼみになっている部部分）にはまり込むような形になっています。
この骨頭は正常な関節では4/5が臼蓋に包み込まれており、安定性がよく、周囲の筋肉と腱を使って 前後、左右、回すなど自在に動かすことが可能です。

前出の疾患により、
大腿骨骨頭と臼蓋を覆う軟骨がすり減る、骨の血流が悪く無り壊死するなどの病態が発生すると関節の動きが悪い、動かしたり体重をかけると痛みが強くでる等の症状が出てきます。

手術へのタイミングについて

上記適用の疾患例において、運動療法、注射、お薬などの保存的治療で痛みのコントロールや、機能の回復が 期待できないほどに症状が進行した場合に行います。
この場合、強い痛みにより、日常生活に支障が出る場合が多く、回復の可能性が期待できないことがほとんどです。

手術の概要説明

1. ①皮膚の切開を行います。

   

2. ②大腿骨の骨頭を切り、髄腔（ずいくう）をととのえます。臼蓋の表面を削ります。

   

3. ③削った臼蓋内にカップをはめ込み、ネジや骨セメントで固定します。この際に設置する位置や向きに注意することが大事であり、手術後の仕上がりの良し悪しに影響します。

   

4. ④大腿骨側には、髄腔内にステムを設置し、先端に金属やセラミック製の骨頭を接続します。この段階で左右の脚の長さを極力揃えるように微調節をします。そうすることで、患者さんの歩きやすさが変わってきます。

   

5. ⑤最後に臼蓋カップとその骨頭を組み合わせます。そして再建した股関節の安定性を確認します。